東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻/理学系研究科物理学専攻
江尻・辻井研究室
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波動を使った加熱・電流駆動
一般に高温プラズマは散逸が小さく、電場、磁場は遠方まで影響をおよぼすため、波が存在しやすい環境です。
波の存在条件と性質は、分散関係 k (&omega) で表されますが、磁場、密度、温度によって波の種類は大きく異なり、
多種多様な波が存在します。波のエネルギーや運動量は、ある条件を満たすとき、電子やイオンに移され、その
結果、プラズマを加熱したり、プラズマ中の電流を駆動することができます。
核融合反応を引き起こすような高温プラズマを生成する手段として波は有効です。また、プラズマ中に電流を駆動
することトマカク配位を維持することは、定常核融合炉を実現するためには必須の技術です。
これまで、我々は、世界で初めて、低域混成波(LHW)やHHFW(高次高調速波)を用いて、球状トマカク配位を生成
できることを示しましたが、その効率はまだまだ不十分です。より高効率な電流駆動手法を開発し小型定常核融合
炉を実現するには、波の理解が必要です。
数値計算による波の振る舞いの予測は重要な手段ですが、現状では、定量的な精度が不足しています。また、数値
計算では再現できないような現象もあります。そのため、実験的な波動物理の研究は重要です。
実験の最初のステップは、アンテナ設計です(Fig. 1)。望みの波を励起する必要があります。励起された波はプラズマ
中を伝搬しますが、伝搬中にその性質を変えます(Fig. 2)。伝搬した波がある条件を満たすとプラズマ中の電子やイオ
ンにエネルギーや運動量を渡します。この時、これらの速度分布関数が変形し、その結果、電流が駆動されます。
電流は磁場を生成し、トカマクプラズマの性質が大きく変わることがあり、その結果、温度や密度が変わります。温度や
密度の変化は波の励起、吸収条件や伝搬を変えます。因果関係のループの中で波は重要な役割を果たしますが(Fig. 3)、
我々が研究している高周波維持トマカクでは、100 %の電流が波で駆動されるため、自律性が強く、波動物理にとっては、
チャレンジングな領域です。
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非線形・非平衡・自律系生成維持機構 | 先進計測手法の開発 |
これらの研究を通して、どこでも誰でも使えるコンパクトな球状トカマク炉の実現を目指します