東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻/理学系研究科物理学専攻
江尻・辻井研究室

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非線形・非平衡・自律系生成維持機構

高温プラズマではクーロン散乱の効果が小さくなり、分布関数はマクスウェル分布から容易にずれます。
また、イオンと電子が異なる温度を持つことも珍しくありません。クーロン散乱が小さいことは、抵抗が
小さいことを意味し、磁場の拡散(散逸)が小さく、磁気レイノルズ数は非常に高く、乱流が発達し易い
状況です。このような原因で、高温プラズマは熱平衡から遠く離れた非平衡状態になります。
プラズマ中のイオンや電子の運動は、磁場や電場の影響を受けますが、これらの運動は磁場や電場を
生成し、これらが磁場、電場の非線形な応答を作りだします。高温プラズマには、高温部と低温部の間に
大きな温度勾配があり、これが各種の不安定性を駆動します。これらの不安定性は非線形な相互作用を
通じで飽和したり、別の構造を作りだし、不安定性を抑制することがあります。一方、不安定性が飽和せ
ず、プラズマを崩壊させることもあります。
TST-2装置の特徴は、高周波波動のみで電流を駆動して、閉じた磁気面をもつトカマク配位を生成できる
ことで、自律性の非常に高いプラズマと言えます。

 波動を使った加熱・電流駆動    極低密度高周波プラズマの物理
   乱流・輸送・不安定性  
 非線形・非平衡・自律系生成維持機構    先進計測手法の開発

これらの研究を通して、どこでも誰でも使えるコンパクトな球状トカマク炉の実現を目指します